まつり縫い裾上げで表に糸が出る原因は?手縫いで美しく仕上げるプロの技
まつり縫いと一口に言っても、縫い針の進め方や構造によっていくつかの技法が存在します。用途に適さない技法を選択してしまうと、表に縫い目が出たり、歩行時の摩擦で糸がすぐに切れたりする原因になります。代表的な3つの技法の特徴を整理しましょう。
まず、カジュアルウェアや裏地のない日常着の裾によく用いられるのがたてまつり縫いやり方です。折り代の端に対して針を垂直(たて方向)に刺し、表地をすくってすぐ上の折り代の際へ抜く縫い方で、折り代の端が浮き上がらずしっかりと固定されるメリットがあります。しかし、表地に糸が出るリスクが最も高く、ウールスラックスには適しません。
一方、スラックスやスーツの仕立てで標準とされるのが流しまつり縫いと奥まつり縫いです。流しまつり縫いは、針を斜めに進行させながら等間隔(約1〜1.5cmピッチ)で表地の糸をすくっていく技法で、適度な伸縮性とスピード感を兼ね備えています。
そして、最も美しくプロフェッショナルな仕上がりを誇るのが「奥まつり縫い」です。折り代の端ではなく、端から5mm〜1cmほど内側(奥)に入った位置の生地をめくり、表地と折り代の内側同士をすくい合わせていきます。縫い糸が折り代の内部に完全に隠れるため、表側に糸が出ないだけでなく、足を滑り込ませた際に靴下やつま先が糸に引っかかって切れる事故を物理的に防ぐことができます。