椎名林檎がグレッチで殴ってと歌った真意|ベンジーと愛機を巡る真相
では、なぜグレッチという楽器は、ロックミュージシャンたちをこれほどまでに惹きつけるのでしょうか。その音響的特徴と、椎名林檎周辺のサウンドメイクを分析します。
グレッチのホロウボディ(中空構造)ギターは、一般的なギブソンやフェンダーのエレキギターとは一線を画す構造を持っています。ボディ内部の空洞が生み出すアコースティックな「箱鳴り」と、搭載されたフィルタートロン(Filter'Tron)ピックアップによるトレブリーで暴れる倍音が合わさり、独特の「トゥワンギー(Twangy)」なドライブトーンを生み出します。この生々しく荒削りなサウンドこそが、浅井健一のトレードマークであり、椎名林檎が焦がれたロックの質感でした。
一方、椎名林檎自身のギター機材システムを見ると、歪みペダルには定番のProCo RATやBOSS BD-2(Blues Driver)などを活用し、アンプにはMarshallやFender Twin Reverbを組み合わせることで、鋭利でエッジの効いたギターサウンドを構築していました。歪ませても芯が潰れないアタック感を重視した機材選定は、彼女のハスキーかつダイナミックな歌唱を支える強固な土台となっていたのです。