なぜジャンヌ・ダルク絵画は姿を変えたのか?名画に潜む甲冑と旗の真相
アングルの作品以外にも、世界各地の美術館や歴史的建造物には見逃せない名作が数多く存在します。特に美術史上で重要な評価を受ける3つの傑作を紹介します。
1. ジュール・ウジェーヌ・レネプヴー『ジャンヌ・ダルクの生涯』(パンテオン壁画)
パリのパンテオン内部を飾るジュール・ウジェーヌ・レネプヴーによる巨大壁画は、彼女の生涯を4つの連作(羊飼いの少女時代、オルレアンの戦い、ランスの戴冠式、ルーアンでの火刑)で描いた圧巻のパノラマです。鮮やかな色彩と分かりやすい劇的な演出で、フランス国民が抱くジャンヌの物語を決定づけた金字塔です。
2. ジュール・バスティアン=ルパージュ『ジャンヌ・ダルク』(メトロポリタン美術館)
ニューヨークのメトロポリタン美術館が誇るバスティアン=ルパージュの『ジャンヌ・ダルク』(1879年)は、英雄ではなく「素朴な農村の娘」として彼女を描いた自然主義の傑作です。ドンレミの庭先で大天使ミカエルや聖カタリナの霊言を耳にした瞬間、瞳孔を開いて呆然と佇む少女の心理描写は、観る者に強烈なリアリズムを突きつけます。
3. ヘルマン・シュティルケ『火刑台のジャンヌ・ダルク』
1831年にルーアンの古市場で執行された悲劇を描いた火刑の絵画群の中でも、ドイツの画家シュティルケらによる作品は際立っています。煙と炎が立ち上る中、十字架を胸に抱きしめながら天を見つめる彼女の姿は、キリストの受難と重ね合わされ、悲劇的なヒロインとしての神格化を決定づけました。