なぜ黒く濃厚?名古屋の味噌が魅せる深い旨味と老舗革新の現在地
伝統が生き続ける一方で、現代の外食シーンにおける進化のスピードも凄まじい。その急先鋒として国内外に熱烈なファンを広げているのが株式会社矢場とんだ。揚げたての極厚豚カツに、創業当時から継ぎ足されてきた秘伝のみそだれを客席の目の前で豪快にかける演出は、今や名古屋観光のハイライトとなっている。豚の脂の甘みとサラリとしたタレの絶妙なバランスは、従来の「重い」というイメージを完全に払拭した。
現在、大手グルメサイト「食べログ」の百名店やレビューを覗くと、伝統的な味噌煮込みうどんや味噌カツの名店に混ざり、新たな潮流が生まれていることがわかる。フレンチの技法で豆味噌をデミグラスソースに昇華させた創作ビストロや、八丁味噌のキレを生かした漆黒のクラフトラーメンなど、新世代の料理人たちが自由な発想で豆味噌を再構築している。伝統の重みを知る職人と、境界を越える若きシェフたちの競演が、この街の食シーンをかつてないほど熱くさせている。