なぜキャンディーズは「銀河系まで飛んで行け」を解散前夜に作ったのか
『銀河系まで飛んで行け』の最大の魅力は、キャッチーでありながらどこか哀愁とアヴァンギャルドさが同居する独創的な世界観にあります。当時のインタビューや関係者の証言によると、吉田拓郎が提示した実験的なメロディラインに対し、作詞の喜多條忠は「地上を捨てて宇宙の果てへ逃避行する恋人たち」というSF的かつ象徴的な詞を乗せました。
一見すると純粋なファンタジーやスペースファンクに見える歌詞ですが、当時の状況を踏まえると「過密日程と過剰な熱狂に縛られたアイドルという重力からの脱出」という鮮烈なメタファーとして読み解くことができます。「銀河系まで飛んで行け」というフレーズは、彼女たちが芸能界という地上を離れ、自由な個人(ひとりの女性)へと帰還していく未来を予見したエールでもあったと分析されています。馬飼野康二によるスペーシーなシンセサイザーと疾走感あふれるベースライン、そしてラン・スー・ミキの緻密な3声コーラスが融合し、歌謡曲の領域を軽々と突破したサウンドが完成しました。