しらすは何の稚魚?イワシだけじゃない正体とちりめんじゃこの真実
市場やスーパーに並ぶしらすの原材料表示を確認すると、そのほとんどに「いわし稚魚」と記載されています。日本国内で食用として漁獲されるしらすの約9割以上を占めているのは、カタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシの3種類です。水産庁の海洋資源調査資料や各地の漁協データによると、時期や海域によって網に入る割合は変動するものの、年間を通じて最も多く流通しているのはカタクチイワシの稚魚です。
これら3種の稚魚は、体長1.5cm〜3cm前後の段階では体側にウロコや色素沈着がなく、内臓と目玉以外がガラスのように透き通っています。この「白く透き通った姿」から「白子(しらす)」と呼ばれるようになったのが名称の由来です。
- カタクチイワシ(シコイワシ):全国流通の約70〜80%を占める主力種。春から秋にかけて長期にわたり産卵するため、年間を通じて安定供給されます。
- マイワシ(真鰯):主に春先に多く漁獲されます。身質が柔らかく、釜揚げにした際のふっくらとした食感と豊かな脂の甘みが際立ちます。
- ウルメイワシ(潤目鰯):初夏から夏にかけて混ざることが多く、細長く引き締まった美しいフォルムが特徴です。乾燥加工に適した身質を持っています。
ここで多くの消費者が驚きを隠せないのが、しらすの成魚の姿とのギャップです。あんなに白く小さなしらすも、海で数か月から1年生き延びると、体長15cm〜25cmにまで急成長します。背中は群青色に染まり、体側にはギラリと光る銀色のウロコを纏い、マイワシであれば特徴的な黒い斑点模様が浮かび上がります。相模湾で40年以上網を引くベテラン漁師は「水揚げ直後のしらすは手のひらの上で光を反射するクリスタルそのものだが、わずか半年海を泳げば青魚特有の力強い魚体へと豹変する。この劇的な変化こそ海の命の神秘だ」と証言しています。