ハンプティダンプティの正体とは?卵の姿の秘密と歴史の大砲説を徹底解明
「ハンプティ・ダンプティ」と聞いて、誰もが即座にあの卵人間を想起する最大の立役者は、数学者であり作家でもあったルイス・キャロルです。
『不思議の国のアリス』ではなく、実は『鏡の国のアリス』
よくある誤解として、「『不思議の国のアリス』に出てくるキャラクター」という認識がありますが、厳密には1871年に出版された続編『鏡の国のアリス(Through the Looking-Glass)』の第6章に登場します。
キャロルは、当時のイギリス人なら誰もが知っていた「なぞなぞ童謡」のキャラクターを物語に召喚しました。そして、当代随一の風刺画家であったジョン・テニエルが描いた挿絵において、はっきりと「服を着て塀の上にデンと座る巨大な卵」の姿が具現化されたのです。このテニエルの挿絵のインパクトがあまりに圧倒的だったため、以後の世界では「ハンプティ・ダンプティ=卵」のイメージが決定的な共通認識となりました。
言葉の支配者としての尊大さと、迫り来る運命
作中におけるハンプティ・ダンプティは、お世辞にも愛嬌があるとは言えない、極めて尊大で理屈っぽい性格として描かれています。アリスに対して「言葉の意味とは、使っている私が決めるものだ。どちらが主人(支配者)か、それだけの問題だ」と言い放つ哲学的な問答は、言語哲学の世界でもしばしば引用される有名な場面です。
しかし、どれほど高邁な理屈をこねて威張り散らしていても、読者は童謡の結末を通じて「彼がこのあと塀から落ちて無残に砕け散る」ことをあらかじめ知っています。この圧倒的な皮肉とブラックユーモアこそ、ルイス・キャロルが仕掛けた文学的なギミックだったと言えます。