ガソリンとディーゼルの決定的な違い|燃料代の罠と寿命の真実
ガソリン車から乗り換えたユーザーが最も戸惑うのが、日常点検と消耗品管理のシビアさです。特に最新の排ガス規制(ポスト新長期規制等)をクリアしている中・大型ディーゼル乗用車には、排気ガス中の有害な窒素酸化物(NOx)を無害な窒素と水に分解するため「尿素SCRシステム」が搭載されています。ここで不可欠となるのが、高品位尿素水であるアドブルー(AdBlue)補充の費用と手間です。
アドブルーは燃料消費に伴って一定比率(燃料消費量の約1〜2%程度)で消費され、一般的には走行1,000kmあたり約1リットルが消費されます。タンク容量は車種により10〜15リットル程度であるため、概ね10,000kmから12,000km前後のインターバルで補給が必要です。液剤自体の単価は10リットルで2,000〜3,000円程度と決して法外ではありませんが、ガソリンスタンドやカー用品店、ディーラーへわざわざ足を運んで補充する物理的な手間が発生します。万一アドブルーが完全に枯渇すると、排ガス規制を遵守する保安基準の制御が働き、一度エンジンを切ると再始動が不可能になるという厳格なフェイルセーフが組み込まれています。
さらに注意を払うべきはエンジンオイルです。クリーンディーゼル車には、DPFのフィルター網を詰まらせる金属灰分(アッシュ)の発生を極限まで抑えた「JASO規格 DL-1」や各自動車メーカー独自の認証オイル(欧州車規格ACEA C3など)の指定オイルが必須となります。一般的なガソリンエンジン用の格安鉱物油を充填することは厳禁であり、専用オイルはリッターあたりの単価が割高です。前述したDPF再生に伴うオイル希釈現象を考慮すると、メーカー指定の走行5,000km、または半年ごとの交換スパンを厳密に守る必要があり、1回あたりのオイル交換費用はガソリン車の1.5倍から2倍近くに達します。