【2026年現地取材】なぜいま京町家の「かまど」に世界が熱狂するのか?伝統の薪火と羽釜がつなぐ食の未来「京都 おく ど は ん」最前線
電気炊飯器の技術革新は目覚ましい。AI制御や圧力コントロールによって、家庭でも料亭並みの仕上がりが実現できるようになった。しかし、実際に町家の土間に腰を下ろし、薪の火で炊き上がったばかりのごはんを一口口に含んだ瞬間、誰もがその違いに目を見張る。ふっくらとした立ち上がり、皮一枚の弾力、そして咀嚼するほどに広がる強烈な米本来の甘み。電気では決して再現できないこの旨味の秘密は、かまどの構造と激しい熱対流にある。
「おくどはん」の内部は耐火レンガや粘土で塗固められ、熱を逃がさず均一に閉じ込める仕組みになっている。そこへ燃え上がる赤々とした薪の強い火力が加わることで、羽釜内部で猛烈な対流が巻き起こる。米粒ひとつひとつが均一に加熱され、水分をたっぷり吸い込みながら一気に糊化が進むのだ。終盤、じっくりと火を落として蒸らすプロセスで香ばしいおこげが完成する。この一連のドラマこそが、人の五感を強烈に刺激する。