東映の黄金期を彩った久保千代子の軌跡と知られざる銀幕の真相
1950年代後半から1960年代にかけて、日本映画界は空前の活況に沸いていた。週末になれば映画館の前には長蛇の列ができ、スクリーンから放たれる光が観客の顔を照らし出す。その中心地の一つが、東京・練馬に位置する東映東京撮影所だった。
埃とペンキの匂い、怒号交じりに飛び交うスタッフの声。そんな熱気あふれる東映東京撮影所で、久保千代子は数々の現場を経験した。東映が次々と世に放った現代劇やアクション映画において、彼女の瑞々しい佇まいはひときわ目を引いた。大作の看板を背負う主演俳優たちの傍らで、時に健気な娘を、時に時代の波に翻弄される女性を体現し、昭和邦画が持つ独特のバイタリティを支える不可欠なピースとなったのである。