オールシーズンタイヤはやめたほうがいい?後悔の理由と氷上制動の真実
オールシーズンタイヤに対する否定的な評判の根底には、購入前の「イメージ」と装着後の「過酷な現実」との間にある致命的なギャップが存在します。一般に、オールシーズンタイヤはドライ路面、ウェット路面、そして降り始めの浅い雪や圧雪路までは十分なグリップ力を発揮するように設計されています。しかし、雪国や冬場の早朝に日常的に出現する「凍結路面(アイスバーン)」に対しては、ゴムの配合特性上、スタッドレスタイヤのような吸水・密着性能を持ち合わせていません。
整備現場のチーフメカニックは「春先から秋口の快適性を優先して設計されたゴムは、氷点下の氷上ではガラスのように硬化し、路面の水膜を排除しきれずにグリップを失います。その基礎知識を持たずに『これ1本で冬も完璧』と思い込んだユーザーが、最初の凍結交差点で止まれずに肝を冷やすのです」と指摘します。
くわえて、日本特有の気候事情も関係しています。欧州のようにサラサラとした乾燥粉雪が降る地域と異なり、日本の降雪地帯や都市部の降雪は、日中に溶けて夜間に凍結する「ミラーバーン」や「ブラックアイスバーン」を頻繁に形成します。もっとも危険な路面環境において決定的な制動力不足を露呈することが、ネット上で「やめたほうがいい」という強い警告として拡散される構造的要因となっています。