断面が美しいオクラ「ダビデの星」とは?味の真実と失敗しない育て方
野菜売り場で見かけるスラリとした五角形のオクラを見慣れた人にとって、初めて目にするダビデの星は少なからず衝撃的です。太さは大人の手首ほどにも迫る太い砲弾型で、畝(うね)と呼ばれる稜線が8本から10本前後走っています。水平に輪切りにすると、名前の由来となったユダヤの象徴「ヘキサグラム(ダビデの星)」を想起させる、鋭角でくっきりとした幾何学的な星の形が現れます。
植物学的なルーツを辿ると、ダビデの星は人為的な品種改良を施された交配種(F1品種)ではなく、特定の地域で何世代にもわたって種が受け継がれてきた「エアルームオクラ(固定種)」に分類されます。地中海東部やイスラエル周辺に起源を持つと伝えられ、その後アメリカ南部に渡り、南部料理(ケイジャン料理やガンボスープなど)の煮込み野菜として愛されてきた歴史を持ちます。大量生産や広域流通を前提とした現代の商業栽培では、形の揃いやすさや日持ちが最優先されますが、そうした選別から漏れ、家庭の味として大切に守られてきたのがこの品種です。
現在、国内市場で一般流通するオクラの9割以上がF1品種であるのに対し、ダビデの星は種苗メーカーや伝統野菜の保存団体を通じて愛好家へと手渡されてきました。種を蒔いて育ち、実を結んだ中から最も優れた個体の種を採って翌年に繋ぐ——。そうした固定種ならではの生命力と多様性を宿している点こそ、この野菜が単なる「映え食材」にとどまらない深い文化的価値を持つ理由です。