モールの応力円で挫折する理由とは?角度2倍の真相と主応力計算法
試験会場や設計実務で迷いをゼロにするために、定規とコンパス(あるいはフリーハンド)で確実に円を描ききるモールの応力円 書き方を5つの明快なステップに分解して整理しました。
- 直交座標系を設定する:横軸に垂直応力$\sigma$(右側を引張正)、縦軸にせん断応力$\tau$を取ります。材料力学の標準的な作図では「縦軸の下向きをせん断応力正(あるいは要素を時計回りに回そうとするせん断応力を上側)」と定義する流儀が広く使われます。混乱を防ぐ最短ルートは「要素の右面において、上向きせん断を縦軸の正、あるいは時計回りモーメントを生むせん断を正」とマイルールを一貫させることです。
- 2つの既知応力点をプロットする:$x$面(垂直応力$\sigma_x$、せん断応力$\tau_{xy}$)に対応する点$X(\sigma_x, \tau_{xy})$と、$y$面に対応する点$Y(\sigma_y, -\tau_{xy})$の2点を座標平面上に打ちます。この2点は必ず円の直径の両端になります。
- 中心座標を求める:点$X$と点$Y$を結ぶ線分を引き、横軸との交点を中心$C$とします。中心の座標は垂直応力の平均値であるため、常に以下の公式で定まります。 $$C = \left(\frac{\sigma_x + \sigma_y}{2}, 0\right)$$
- 円を描き半径$R$を計算する:中心$C$から点$X$(または点$Y$)までの距離を半径$R$として円を描きます。三平方の定理より、半径$R$は以下の式で計算されます。 $$R = \sqrt{\left(\frac{\sigma_x - \sigma_y}{2}\right)^2 + \tau_{xy}^2}$$
- 主応力と最大せん断応力を読み取る:円と横軸($\tau = 0$)との交点が垂直応力の極値、すなわち主応力($\sigma_1, \sigma_2$)です。円の最上点・最下点がせん断応力の極値となります。
この作図が完了した瞬間、複雑な連立計算をすることなく、以下の主応力の求め方と最大せん断応力 公式が幾何学的に即座に導き出せます。
$$\sigma_1 = \frac{\sigma_x + \sigma_y}{2} + R = \frac{\sigma_x + \sigma_y}{2} + \sqrt{\left(\frac{\sigma_x - \sigma_y}{2}\right)^2 + \tau_{xy}^2}$$
$$\sigma_2 = \frac{\sigma_x + \sigma_y}{2} - R = \frac{\sigma_x + \sigma_y}{2} - \sqrt{\left(\frac{\sigma_x - \sigma_y}{2}\right)^2 + \tau_{xy}^2}$$
$$\tau_{\max} = R = \frac{\sigma_1 - \sigma_2}{2} = \sqrt{\left(\frac{\sigma_x - \sigma_y}{2}\right)^2 + \tau_{xy}^2}$$