名作『ひよこの目』が今なぜ心揺さぶる?映像化スクープの真相
本作を語る上で外せないのが、著者・槇村さとるの卓抜した人間洞察力だ。集英社の看板雑誌別冊マーガレットで連載された本作は、当時の少女漫画界に鮮烈な衝撃を与えた。甘美なロマンスが主流だった時代に、痛々しいまでの人間のエゴや自己嫌悪、そして孤独を真正面から叩きつけたからである。
槇村が描くキャラクターは、決して都合の良い聖人君子ではない。弱く、ずるく、時に残酷だ。だからこそ、二人が不器用に重ね合わせる手のぬくもりが、読者の胸に生涯消えない刻印を残す。