異端の怪演俳優チャ・スンウォンが魅せる素顔と圧倒的演技の真髄
世界的な巨匠パク・チャヌクが製作・脚本を手掛けたNetflix映画『戦と乱』における彼の怪演は、配信開始と同時に大きな衝撃を与えた。朝鮮王朝第14代国王・宣祖(ソンジョ)という、民を見捨てて逃亡しながらも自らの権威に執着する複雑な君主を、醜悪かつ哀哀とした生々しさで演じきったのだ。歴史の波間に埋もれた人間の愚かさを、これほど残酷に、そして魅力的に炙り出した例は他にない。
本作で激しい運命の火花を散らしたのが、奴婢出身の義兵を演じたカン・ドンウォンだ。かつて別の作品でも共演歴を持つ実力派同士が、今作では階級と信念を巡って刃を交える。張り詰めた緊張感の中で繰り広げられる二人の演技合戦は、観る者の息を止めさせるほどの凄みに満ちていた。名匠が敷いた重厚な世界観の中で、チャ・スンウォンが放つ異様なエネルギーは、まさに物語の不穏な推進力そのものだったと言える。