デイライトとは?昼間点灯の理由とスモールとの違い・車検基準を解説
「日陰でアイドリング中に消したい」「前の車に眩しがられそうだから切りたいのに、OFFスイッチが見当たらない」という疑問や戸惑いの声は、近年の新車オーナーの間で頻繁に聞かれます。なぜ最近のクルマはデイライトを任意で消せない構造になっているのでしょうか。
その背景には、国際基準への調和とオートライト義務化に伴う安全思想の根本的な大転換があります。
欧州連合(EU)では、高緯度で日照時間が短い気候特性から事故低減を目指し、2011年にすべての新型乗用車へデイライト装着が義務化(ECE R87基準)されました。日本国内では長らく「その他灯火類(300カンデラ以下)」の枠組みに縛られていましたが、2016年10月の保安基準改正によって「昼間走行灯(DRL)」の規格が正式に新設され、世界標準の光量(最大1,440カンデラ)が解禁されました。
さらに決定打となったのが、国土交通省によるオートライト機能の段階的義務化です。新型車は2026年4月以降、継続生産車も2026年10月以降、周囲の照度が1,000ルクス未満(日没前の薄暗い時間帯)になると自動で前照灯が点灯するシステムの搭載が義務付けられました。同時に「手動による完全消灯(OFFポジション)」が法規上封じられたため、イグニッションをONにして走行レンジに入っている限り、デイライトか前照灯のどちらかが常時点灯するシステム設計が基本となったのです。
「ドライバーが自分の判断で消せるようにすると、薄暗くなっても点灯させないドライバーが必ず現れる」という人間の不完全さを前提にした安全思想が、フェイルセーフとしてシステムに組み込まれた結果といえます。なお、停車中にパーキングブレーキ(サイドブレーキ)を引いたり、シフトを「P」に入れたりすることで自動消灯する車種や、メーターのインフォテインメント画面から設定変更できる車種もありますが、「走行中に完全に消灯させたまま走る」ことは基本的にできない仕様になっています。