船木和喜がアップルパイを売る理由とは?金メダルの栄光と後進育成の真実
長野五輪で日本中に感動をもたらした金メダリストの船木氏が、洋菓子事業を本格化させたのは2008年のことでした。自ら「株式会社えんとつ」を設立し、菓子製造・販売ブランド「王様の工房」を立ち上げました。
多くのファンやメディアが「なぜスキージャンプの英雄がアップルパイなのか?」と驚きを隠せませんでしたが、その背景には明確な2つの動機がありました。
第一の理由は、「故郷・北海道余市町への恩返し」です。ニッカウヰスキーの創業地としても知られる余市町は、日本で初めてリンゴの栽培に成功した歴史を持つ名産地でもあります。過疎化や後継者不足に悩む地元農業を支え、特産品であるリンゴの価値を全国に発信したいという強い郷土愛が、アップルパイづくりの原点となりました。
第二の理由は、「アスリートとしての自立と活動資金の確保」です。冬季競技のアスリートは、企業所属のプロであっても不況やスポンサー離れの影響を直接受けやすい環境に置かれています。他者や企業頼みのスポンサー獲得に依存するのではなく、「自らビジネスを起こし、競技資金を創出する」という先進的なアスリート起業家の道を切り開いたのです。