なぜ心揺さぶるのか?相田みつをの言葉に隠された孤独と創作の真実
相田の思想的バックボーンを語る上で欠かせないのが、長年にわたる禅・仏教哲学への深い傾倒である。曹洞宗の禅僧・秋満哲雄との出会いをはじめ、禅の教えは彼の骨肉となった。「あるがまま」を見つめ、自我の執着を手放す作業は、彼の創作活動そのものであったと言っても過言ではない。
その極致が代表作の一つである『おかげさん』に見られる世界観だ。自分ひとりの力で生きていると錯覚しがちな人間が、目に見えない無数の支えによって生かされている事実に気づかされる。傲慢さを戒め、他者への感謝と慈悲を呼び覚ますこの視点は、分断と自己責任論が蔓延する今の世において、いっそう鋭く、そして温かく響く。