検便でわかることの真相|便潜血陽性の病気と見逃せない大腸の危険信号
Q1:生理中に健康診断の検便を採取して提出しても問題ありませんか?
A1:生理中の採便は絶対に避けてください。現代の便潜血検査は微量のヒト血液にも鋭敏に反応するため、経血がわずかでも便の表面に付着すると確実に「偽陽性」となってしまいます。その結果、本来必要のない大腸内視鏡検査を受けることになり、受診者にとっても医療機関にとっても大きな負担となります。健康診断の受診日と生理が重なる場合は、事前に医療機関へ連絡して検便の提出日を後日に変更してもらうか、検便のみ別日程で受ける手続きを行ってください。
Q2:ひどい便秘で2日分の便が指定期間内に採れません。1日分だけでも検査は有効ですか?
A2:1日分のみの提出でも検査自体は受け付けてもらえますが、病変の検出率は大幅に低下します。大腸がんスクリーニングにおける「2回法」は、1日目の採便で出血を捉え損ねても2日目で拾い上げるために設計された標準的手法です。1日分しか出せなかった場合、がんやポリープの見落としリスクが高まる点を認識する必要があります。便秘傾向の強い人は、採便期間の数日前から十分な水分と食物繊維を摂取する、担当医に相談して緩下剤を処方してもらうなど、計画的な準備が推奨されます。なお、採取した検体は冷暗所(冷蔵庫など)に保管すれば数日間はヘモグロビンの変性を防ぐことができます。
Q3:検便で胃がんや十二指腸潰瘍など、上部消化管の病気もわかりますか?
A3:一般的な健康診断の「免疫法」による便潜血検査では、胃がんや十二指腸潰瘍の出血はほとんどわかりません。胃や十二指腸から出血した血液は、長い小腸を通過する過程で強力な消化酵素や腸内細菌によって分解・変性され、抗体が反応するヘモグロビンの立体構造が破壊されてしまうためです。胃がんや食道がん、胃潰瘍などのスクリーニングには、便潜血検査ではなく上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)や胃部エックス線検査、あるいはピロリ菌便中抗原検査を単独または組み合わせて利用する必要があります。